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未経験で税理士事務所に就職しようと思ったときに大事にしてほしいこと

記事更新日:

「もっと早くから簿記の勉強していればよかったですよね」

これは今回採用させて頂いたメンバーの一人が面接のときに言っていた言葉でした。

発言の意図やそれに至った背景はここでは割愛しますが、面接の時点ではすでに簿記の勉強を始めており、未経験ながらも頑張ろうという気概は十分に感じられ、採用したいと思える人物であったことはここに補足したいと思います。

今回のこの言葉の持つ意味について、簿記3級を29歳で受け、31歳で税理士業界に入ってきた北島なりの思うところを書きたいと思います。

税理士業界のキャリア論

30歳手前で税理士の仕事を知った私からすれば逆に考えられなかったキャリアですが、学生の時に税理士試験の勉強をして、新卒で税理士事務所・会計事務所に就職して、実務経験を積み税理士登録…これが税理士業界のオーソドックスなキャリアのうちの一つです。

大学時代の勉強も、社会人としてのキャリアも多くが税務に関するものですので、素晴らしい経験を構築するには十分な時間があります。

税法も奥が深いのでこのようなキャリアでこの業界に携わることができれば、高難度の案件であっても対応できる可能性は高くなるでしょう。

しかし、これだけが成功の道かと聞かれればそうではないですし、この業界に就職するのが遅いことはスタートが遅いだけ(マイナスの要素しかない)かと言われるとそうではないと思っています。

異業種の経験も役に立たせられる

とはいえ、私もこの業界に転職するとき、面接で「なんで新卒から税理士業界目指さなかったのか」「その歳だと遅いんじゃないのか」などと言われたものです。

その時私は生意気にも「確かに税理士業界は未経験ですが、これまでの営業の経験はお客様対応に、不動産業や資産税コンサルの経験は譲渡や相続贈与案件などで役に立つと思います!」と反論し、「それは税務の知識経験じゃないから直接関連性がない」と再反論されました。この応報の是非は割愛しますが、この面接官の仰ることも一理あり、ここでも人の価値観の違いが見て取れます。

もちろん、これから語ることは私の価値観の話ですので、この記事全体の内容について違う意見があって、その意見も決して間違いでないと私も思っていることは予め申し上げておきます。

さて、では大学や社会人経験で異業種の勉強・経験をして税理士事務所に入ることは、先のストレートで目指した人より劣るのでしょうか?

決して自分のキャリアが最善だと言いたいわけではありませんが、私はこれについてはNoだと思っています。

理由は「様々な業界・職種を知ることは自分の視野を広くする」こと、そして「ビジネスが複雑化・多様化している現在において税務の知識経験のみが求められる時代ではなくなってきている」からです。

視野を広く持つことの重要性

スペシャリストかゼネラリストかの議論に多少近くなりますが、特定の業界、特定の職種の経験が長くなればなるだけ人の視野は狭くなり、部分最適な発想が強くなります。

それがこれまで問題でなかったのは、税理士の多くは一人ないし家族経営や少人数事務所のような「全体最適ができる視野の広さ」を必要としない形態であったこと、お客様の質問や相談について税務の部分にのみ触れれば大丈夫であった時代背景などが挙げれるでしょう。

しかし、ビジネス・社会情勢の多様化・複雑化を受け、現在税理士に求められる要素も同様に多様化・複雑化していると思います。

分かりやすい例でいえば、税理士の役務としては税務の部分のみなので、会計や財務は専門分野ど真ん中ではありませんし、融資や補助金などの資金調達もそうです。

とはいえ、経営コンサルとまではいかなくても、上記のようなものは求める会社さんも多いのではないでしょうか?

このように程度の差はあれど、税理士の独占業務ど真ん中の税務の範囲は会社側が求めるニーズと比較するとやや狭いことが多いと感じています。

また、税理士にとっても税務的なアドバイスを行った結果、社会保険や許認可、または取引の成否や社員の満足度などに影響が出るケースも決して少なくありません。

そのため、税理士も税務の視点だけでアドバイスをするのは危険な時代になってきています。

以前参加した研修の講師をされた業界の有名な先生のお言葉を拝借すると「税務のことだけしか考えられない税理士は『税金バカ』って言うんですよ。みなさんはそうならないように注意してくださいね」というところでしょうか。

だから、お客様に税務のみの観点でアドバイスをして損害を与えないことはもちろんですが、お客様のニーズを満たすため、そしてそこにお客様が求める以上の付加価値をつけるために税務のみの知識でいいとは私は思っていません。そのためには知識はもちろんですが、視野を広く持たなければいけません。そのための検知として税理士以外の業界を肌身で感じたことがある・経験しているというのはそれは税理士業界にいるとできない立派な経験だと思っています。

経験を活かせるかは事務所と人次第

では、異業種の経験があれば税理士業界でも差別化できると断言できるか?と言われるとまたそこは違っていて、税理士業界以外で経験した業種・職種が就職した事務所の方針との親和性の度合いや、その経験の関連性の高さ、そしてその人がその経験をどう活かすか?によっても変わってきます。

私の例で、私がサービス業や不動産業、コンサル業の知識と経験を活かせたのは、転職を機にそれを無かったものとせず、税理士事務所の仕事の中で役立てられる部分をその場面場面で発揮したこと、過去に得た知識と経験を忘れず、かつアップデートし続けていたことは影響したと思います。

しかし、これがきちんと活きたかというとそうではない要素も多くありました。

それが「事務所次第」の部分です。

仮に自身の経験が中小企業支援の中で活きるものだとしても事務所が提供する役務として活かせる要素がないものだと活かす機会が生まれません。

例としては、銀行の融資経験豊富な人が会計事務所に転職したとして、その事務所が融資の支援自体をしていなければそれを活かす場面自体がありません。

このように「事務所自体の提供できる価値・役務の範囲の問題」があるとせっかくの経験が宝の持ち腐れとなるわけです。

多様性への理解と活躍の場を

その点で、当事務所はお客様に提供する価値からその役務を逆算しているので、お客様への高い提供価値があることが税理士業との関連性の高さよりも重視されています。

ですから、税理士事務所の役務と直接関連性のないご経験や知識も活かせる要素が多大にあります。

当事務所の経営理念にある「個を尊重」の対象には当事務所で働くメンバーも含まれていて、必ずしも私と同じような経歴である必要もなければ、私と同じような知識・スキルである必要もないと思っています。

税務などの業務知識は後から身に付けられるので各人が「不足する」と思うものは働いていただく中で身に付けていっていただければいいと思っています。

しかし、その人が当事務所に来ていただくまでに経験した経験、得た知識やスキルは「北島にはない」ものです。

私からすればそんな貴重なものを活かさない手はないと思っています。

(もちろん、如何なるものも許容されるわけではないので、その枠組みの設け方や大事にしてほしい考え方などがありますが、それは別の機会に)

だから、異なる考え方もぶつけてほしいですし、知っていることやご自身のキャラクターはどんどん出して頂きたいと思っています。

そうすることが最終的にはお客様、事務所、ご本人それぞれのためになると考えています。

ですので、今回採用させていただいたメンバー、そして今後一緒に働く方についても「税理士事務所での経験が」「簿記の知識が」「学歴が」「職歴が」などは気にしないで、今までご自身が積み上げてきたもの、そして、これから学ぶ姿勢を大事にしていただければと思うのでした。

ステラリンクス税理士事務所
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