税理士試験の願書提出の時期になりました
GWが終わると税理士試験の願書提出の時期となります。
数年前まで試験を受けていた私もこの時期が来ると未だに「一層勉強しなきゃ」と思ったりします。笑
税理士試験は1年間掛けて特定の科目(多くの人は1~2科目)について深く学びます。
法律条文・通達だけでなく、中には実務では馴染みがないようなマニアックな論点や裁判例などまで触れ、法の趣旨などまできちんと理解している必要があるため、初学者は理解しきる最後の1ヶ月で急激に伸びるなど、最後まで分からないとよく言われます。
反面で、反復練習を相当回数行う必要があるため、一朝一夕で実力が付くものでないため、1年間の持続力・継続力が問われるため、直前期の追い込みだけではうまくいかない試験でもあります。
私は年や科目によって進捗こそ違いますが、合格科目がある年は毎年この時期には「毎回ではないが半分以上は上位に名を連ねている状態」で願書提出の時期を迎えていました。
意外と税理士試験の勉強ではコツコツタイプだったなと感じました。
そのため、この時期はある程度の自信を持って勉強に臨むことができていたのですが、反面で不合格の年は不安の方が圧倒的に多かったことを記憶しています。
その中でも、過去に1度だけ「残り3ヶ月ではどうしようもないから今年は受けるのを辞めようか?」と思いながら願書を出した年がありました。
今回はその時のことと、それを踏まえた当事務所での資格試験受験へのサポートについて書きたいと思います。
勉強が出来ていない年でした
その年は年明け以降色んなことが重なっており、満足に勉強が出来ていない状態でした。
主には業務過多による過重労働が原因で、終電帰りや事務所泊りこみなどをよくしていたものです。
そのため、成績上位とかそういうレベルではなく、勉強したり・授業に出るだけで精一杯、睡眠時間も十分でない、という毎日でした。
合格科目があると、合格した年の成功体験で「この時期にはこれくらいの進捗・成績だったら良い」という目安のようなものが自分の中にあるため、そこから遠くかけ離れた状態、すなわち受けても合格し得ないであろう状態というのもわかってしまいます。
ですので、願書を出しながらも「受けるのを辞めようか」「今から来年の試験に備えた方がいいのではないか?必要に応じて今から来年受ける科目を決めて、その科目を勉強始めた方がいいかもしれない」と思いながら願書を出しました。
一縷の望みに懸けて最後まであきらめず勉強し、本試験を受け、そして予想通りの不合格という結果を突き付けられました(最後のあがきが効いたのか、点数が思ったほど悪くなかったのがせめてもの慰めでした。苦笑)
あの時願書を出すべきだったのかの是非は分かりませんが、そもそも直前期をあのような状態で迎える前にもっと色々手を打たなければ、その年の不合格という結果は回避できなかったと思っています。
その点において、税理士試験の受験とは、予備校選びや科目選択、本人の勉強方法・勉強時間のほかに、社会人受験生であれば労働環境というものが大きく関わってくることを痛感しました。
事務所が受験生にしてあげられること
「社会人受験生」から「社会人受験生を雇用する事業主」になった今、私は事務所のメンバーで税理士試験に挑む皆に何がしてあげられるか?を自問しました。
求人情報を見た時に「受験を応援」という文字は色んな事務所に書いてあります。
私が勤務時代に務めていた事務所もそうでした。
「応援」とはビッグワードで、言葉で応援するだけでも応援ですし、多少の担当件数の配慮があるだけでも応援といえば応援です。
しかし、働きながら税理士試験に合格することの大変さは自分自身もよくわかっているため、事務所のメンバーが働きながら合格するために何の支援もなくスイスイ合格するのはハードルが高いと感じます。
そのハードルを少しでも下げてあげるために事務所としてすべきこと、これを当事務所は以下のように定めました。
①残業をさせない環境を整備し、通年で勉強時間を最大限確保してもらう
②受験費用を一部事務所が負担し、金銭的なハードルを下げる(または浮いた費用を自身の勉強環境整備に充ててもらう)
③受験生の担当件数・売上の個人目標の撤廃と、それによって収入が下がることの弾力化
④資格取得後のキャリアプランに対して複数の選択肢を用意し、「税理士」という資格を活かした多様な働き方を支援
これらを実施することで、時間・金銭、そしてキャリア(モチベーション)の面から資格を取得することの支援を行います。
具体的には以下の通りです。
徹底した残業時間・タスク管理による過重労働の防止
税理士試験の受験生に話を伺うと多くの場合「自分の仕事が終わったら帰っていい」「6~8月の業務量で多少の配慮がある」「試験前〇日の試験休暇がある」というところが多く、しかし、元々残業が多い業界ですので、「自分の仕事が終わったら」という状態を作るのも大変だと聞きます。
先に書いた通り私は税理士試験に合格するためには「通年」での時間の確保が必要であり、直前期などに業務量調整や多少の休暇がある程度では合格するのは難しいと感じています。
そのため「通年」で勉強時間を確保してもらうための最大限の配慮とは、第一に「通年で残業がない」必要があると考えました。
これを事務所全体で実施する仕組みを取ることとしました。
予備校費用の一部負担
当事務所は「試験応援制度」があり、最大で予備校費用の3分の2を事務所が負担します。
税理士試験は独学で合格するのは大変な試験ですから、予備校への通学がほぼ必須と言えます。
また、近年タブレットやアプリなど勉強方法も多様化していること、コロナ渦で以前のように予備校の自習室での学習もしづらい環境になっています。
そのため、授業料だけではなく勉強環境の整備にもお金や工夫が必要な時代になっています。
しかし、その整備や試行錯誤にもお金がかかりますが、その工夫を行うための金銭的ハードルを下げるためにまず一番高額かつ学習を開始する際一番最初に掛かる予備校代を負担することにしました。
勉強スペース、端末、電卓、ペン、栄養、集中・リラックス方法…勉強効率向上のために工夫できることはたくさんあります。
色んなものを活用して効率的に、そしてなるべく早期に合格を勝ち取ってほしいと思っています。
税理士資格取得後のキャリア
昔は「税理士資格を取って独立」が業界のオーソドックスなキャリアプランでした。
今はそれが少しずつ変わってきていますし、「自分のやりたいことが独立しないとできない」組織ではいけないと感じています。
また、「資格を取ったらどうするのか」が明確である方が勉強のモチベーションに繋がりますが、「今の職場が嫌で辞めたいから資格を取る」というのは決して建設的な感情ではないですし、逆に「今の職場は好きで、長く働きたいけど、税理士資格を取るメリットを感じない」となると勉強するモチベーションに影響します。当事務所のメンバーがそういうモチベーションで勉強してほしくないため、「税理士資格を取得したら自分のやりたい〇〇ができるから頑張る」というモチベーションを持ってもらいたいと思っています。
そのため、当事務所は税理士資格取得後のキャリアプランを複数用意し、本人のチャレンジ精神や求めるものに応じて複数の選択が取れるようにしています。
当事務所で働くメンバーが一人でも多く勉強することの楽しさを醸成し、一人でも多く資格を取得し、一人でも多くより多彩な働き方が出来るように、事務所としても支援していきたいと思っています。