会社の今後ついてこう思ったことはありませんか?
- 自分に何かあった時に会社を任せられる人がいない
- 自分の子供は会社を継ぐ意思がないので明確な後継者がいない
- 自分一人で経営をすることに限界を感じ始めたので、経営を安定させたい
上場でも親族承継でもない、第三の承継方法としてのM&A
これまで創業者の経営権の承継については「上場」か「親族承継」の二択で、それがない場合は「廃業」という選択が一般的でした。
しかし、上場というのはほんの一部のニーズでしかなく、親族承継も子が事業を継がないことも増えている現代にあってはお子様がいらっしゃる家庭でも必ず後継者を確保したとは言い難い面があります。
そのためか、多くの事業主・経営者の方が「自分がリタイアする時は廃業して終わり」という考え方の方も多くいらっしゃいます。
特に創業間もない頃や、事業が拡大している時期などは会社の運営のことがメインで承継のことを考えている方は少ないでしょう。
しかし、廃業すると言うことはその会社がなくなることであり、関わってくれるお客様・従業員・取引先などはその会社の関係者が離散してしまうことになります。
経営者にとって自分の会社(事業)というのは第二の子供のように愛着があるものであることも多く、またそれだけの想いを込めた事業に関わってくれた人たちにとってその廃業という選択肢は幸せなものなのでしょうか?
そこで、上場でも親族承継でもない第三の選択肢としてM&Aを中小企業こそ活用すべきと当事務所は考えます。
それはお金のため以上に、事業を今後も安定させるため、そして事業に関わってくれる人たちをずっと幸せにするために必要なことだと考えているからです。
M&Aにはどういう種類があるのか?
M&Aというと自社株を譲渡して自分は退くというイメージが一般的かと思いますが、実際には多種多様な方法があります。
- 自社株を売却して、即座に自分が退く(社長の健康状態が思わしくない時や、取引先など信頼関係がある場合や同業で経営ノウハウがあるところが相手先の場合に多い)
- 自社株を売却して、その後一定年数(3~5年程度)は社長・会長などの役職で会社に残る(後継者などは親会社が確保してくれる)
- 自社株を売却して、その後も自分が社長を続ける(大会社などのグループに参画し、経営基盤を安定化させた上で経営を続ける時に多い)
- 複数事業を営む会社で事業の一部を売却する
- 複数会社を運営する場合に、特定の会社を売却する
- 株式交換などを行い、親会社の株を自分が持った上で親会社グループに参画し、リタイア時に値上がりした親会社株を売却し退職金にする
このようにM&Aは買い手・売り手の双方のニーズを調整しながら決めるため、承継までの期間、承継の方法、金額、その後の社長の関わり方などは千差万別です。
つまり、相手との調整が付けば自分の希望する承継・譲渡の方法が取れるため、非常に自由度の高いことが特徴です。
M&A後の経営基盤はどうなるのか
M&Aを行うかを検討する時に経営者の方が気にすることの上位に「従業員や取引先はどうなるのか?」が挙げられます。
もちろん、譲渡対価などの自分の収入やその後の自分の生活・仕事などは重要な検討要素ですが、その次くらいには上記のことを挙げられる方が多いです。
これも基本的には個別交渉ですが、これについては「従業員や取引先は引き続き関係を維持するように最善を尽くす」というケースがほとんどです。
例外は売り手の会社が保有する特許や商標など、会社が保有する特定の財産のみを目的とした場合くらいです。また、このような重要な項目はM&Aのかなり早い段階で確認を取り、意向の合致する相手とのみ交渉すれば解決できる問題ですので、心配しなくて大丈夫です。
基本的には買い手側も従業員や取引先などの売り手会社の経営基盤にメリットを感じてM&Aを希望するケースが多いので、ほとんどの場合はそのままの状態が継続されると思ってよいでしょう。
M&Aはどのタイミングで行われるのか
これについては「創業者が(高齢になって)リタイアを考えた時」というのが一番多いパターンです。
次に多いのは「事業がうまくいかなくなって廃業を考え始めた時」というのも多いです。
しかし、リタイア直前や廃業を考えなければいけない状況になってからだと買い手が付きづらい・条件が買い手有利になるなどのデメリットも多いのが実情です。
また、現在M&Aの市場は拡大しているため、エリア・規模・業種などを問わず承継ニーズが高まっており、これら以外のタイミングでも活発にM&Aが実施されています。
最近目にする例では
- 創業5年以内の事業が大当たりした会社様
- 珍しく独自性の高い商品・サービスを提供している会社様が大手企業からM&Aを希望された
- 創業10~15年くらいの事業が安定してきた会社様が現状から更に一歩進めるために経営統合する
など、創業年数が短い会社様でも積極的に事例があり、リタイアの時だけではないというのが特徴です。
特に、譲渡対価やその後の社長の生活・仕事面の条件については創業年が短い会社様の方が売り手有利に働くのをよく見かけます。
M&Aの主な流れ
M&Aは個別交渉のため、型にはまった流れはありませんが、一般的には下記のような流れで行われることが多いです。
- 売却条件などを検討
- 売り手会社の情報を匿名(ノンネーム)で買い手希望会社に公開し、買い手を募る
- 秘密保持契約(NDA)の締結
- トップ同士の面談
- 基本合意書の締結
- (法務、財務、税務、人事などの)デューデリジェンス(DD)の実施
- 最終条件交渉
- 最終合意、契約書の締結・クロージング
- ディスクロージャー
M&A専門の用語などもありますが、基本的には買い手希望を募り、デューデリジェンスという売り手会社の調査を行い投資判断を行い、その上で条件交渉を行い、折り合えば契約という流れになります。
この流れの中で注意しなければいけないところが二つあります。
注意点1:買い手募集を誰に依頼するか(仲介会社の選定)
買い手企業がどこかによって売却金額や売却条件などは大きく変わります。
ですので、良い買い手企業を探すための依頼先は非常に重要な要素となります。
そして、合わせて気を付けないといけないのは、自社がM&Aを考えていることを無暗に公にしないことです。
いくら匿名で行うといっても自社の情報を不必要に不特定多数に広める必要はありません。
特に会社に何らかの特徴的な情報があれば、業界の人間だとノンネームであっても売り手企業に当たりを付けられる場合も少なくありません。
M&Aが普及してきたといっても中にはマイナスのイメージを持つ人も少なくないことや、それが従業員・取引先に伝わるとあらぬ憶測が広がる例もあります。
そのため、情報の公開の仕方や公開する相手などは慎重に行うべきなのです。
しかし、残念なことにM&Aはまだまだ法整備がきちんとされていない部分などもあり、M&A仲介会社のリテラシーの問題から、上記のトラブルが起きた例は少なからず聞いております。
つまり、優良な買い手を見つけるために、そしてM&A実施を円滑に行うために、売却情報をどこの仲介会社に伝えるかが非常に重要となります。
注意が必要なのは多くのM&A仲介会社は売り手・買い手の双方の仲介を行うため、必ずしも自社の味方とは言い難い状態で条件調整を行うことが起こりうることです。
この時、M&A成約での仲介手数料が唯一の売上となるM&A仲介会社の最大の目標は「M&Aを無事完了させる」ことであり、そのためには多少強引にでも話をまとめようとする例も少なくありません。
そのため、「仲介会社がむしろ自分を説得しようと働きかけてくる」などの話もよく聞きます。
ですので、M&Aのサポートをするパートナーを誰にするか?は非常に重要なポイントになります。
注意点2:デューデリジェンス対応
M&Aの成否や条件を最も左右するのがデューデリジェンスです。
これをどこまでやるのかは買い手企業によって変わりますが、法務面、財務面、税務面、人事労務面、そしてビジネス面などで行われることが一般的です。
問題となることが多い項目としては
- (法務)取引上の法的リスク(損害賠償請求の可能性など)
- (財務)会計の適正さや財務面での問題点(貸倒リスクや過少過大計上など)
- (税務)税務調査で指摘を受けるような問題点の有無
- (人事労務)未払残業代、従業員の退職リスクなど
- (ビジネス)M&A実施に当たって変更・修正すべき事業のフローなど
についての問題点などが見つかり、デューデリジェンスが行われた結果、交渉が破断になるケースは非常に多くあります。
多くの場合で買い手企業側は何らかの専門家を付けてくるケースが多く、専門知識を持った相手に対して安心・納得させられるだけの情報の提供・答弁が必要となります。
M&Aという取引自体が初めての社長様にとってこのデューデリジェンス対応は税務調査や裁判より大変だったと感じられる方も少なくありません。
合わせて、相手方の理解を得られるような説明ができなかったなどから交渉が破断になるケースや、交渉条件が悪化することもあります。
しかし、税理士事務所等でM&A対応ができる事務所は決して多くないため、適切なサポートが受けられず社長が矢面に一人で立つケースが実際は多いのが実情です。
当事務所のM&Aサポート
当事務所はM&A支援実績から、「M&Aについてちょっと知りたい」と思った段階からM&A完了まで一貫して社長様の横で親身にサポートすることが可能です。
検討段階 | ・M&Aの概要の説明 ・ニーズのヒアリング、承継方法の提案 ・株価算定・売却金額簡易診断 |
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買い手募集段階 | ・買い手募集用のノンネームの作成 ・ノンネームの適宜提供、買い手募集 ・交渉条件アドバイス ・秘密保持契約書(NDA)の作成 ・買い手企業の概況のヒアリング、M&Aニーズの洗い出し ・意向表明書の作成 |
デューデリジェンス段階 | ・デューデリジェンス対応支援 〇必要情報・資料の提供 〇相手先企業・専門家の対応 〇法務・労務等の各種専門家チームの編成 |
最終契約 | ・交渉条件アドバイス |
実施後 | ・税務申告・登記・労務面の手続き等の専門家チームによる対応 (当事務所と提携専門家にてそれぞれ対応します) 〇税務申告 〇登記 〇社会保険等手続き など |
これはお金のプロフェッショナルである税理士であるのと同時に中小事業者のM&Aサポート実績がある当事務所だからこそ、時に税理士として、時にM&A仲介会社として、そして時に専門家チームのリーダーとして、お客様のM&Aが成功するように常に横でサポートを行えることが強みです。
M&Aはいつ機会があるか分からないからこそ
当事務所のM&Aサポートは単にM&Aの時だけのサポートに留まらず、将来いつM&Aが発生しても良いように常日頃からしておくことも目しております。
なぜなら、M&Aは早いものだと1年以内に全て完了するケースもあり、M&Aの方法が多彩であるがゆえに、M&Aを思い立つきっかけも多彩なため、1年前は全くM&A考えていなかった会社様が1年の間にM&Aに乗り出すケースも少なくありません。
この時困ることがあるのが、デューデリジェンスで見られる「3年以内の税務申告書や決算書」です。
他の事務所さんの申告例で、M&Aも融資も全く考えていないということで税務面のみを重視して申告していた決算書・申告書ではM&Aに耐えられないことがしばしばあります。
当事務所は申告・決算を適正にし、いつ融資やM&A、場合によっては第三者からの資金調達、上場準備などが行われても耐えられるような視点を持って常にサポートしておりますので、いきなりM&Aに踏み切った場合でもデューデリジェンスでこちらの希望条件を維持できるような申告内容を提供いたします。
これはM&Aの時だけスポットでサポートする仲介会社やデューデリジェンス対応だけをサポートする税理士・会計士などでは出来ないサポートです。
M&Aのご相談は当事務所まで
M&Aは自由度が高い設計と交渉が行われる上に、財務面のみでなく、法務、労務、税務もかかわってきます。
加えて、会社だけでなく株主個人の税金の問題なども関係してきますので、非常に綿密な検討と条件調整が必要となります。
また、M&Aは多くの社長が初めて経験するがゆえに不安もつきものです。
その不安を取り除き、安心して進めて頂けるように常に一緒にサポートいたします。
上場でも事業承継でもない第三の手段として選択肢としてお持ちいただき、事業展開に有効活用して頂ければと思います。
ご不明点や気になることがあればお気軽にご相談下さい。